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〈ちょうどいい 着る暮らし〉を創造する
坂口彩香の『ちょお〜ど・いい◎ 通信』
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能登半島地震で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
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ご挨拶
こんにちは。
ふく拵え たてやの坂口彩香です。
年始早々、大地震で非日常事態となってしまいました…。
3週間経ちましていかがお過ごしでしょうか。
私の方は能登半島ほどではないにしても大きく長い揺れがありました。
家中が混乱しましたが怪我はなく、ライフラインは無事でしたので、作業場も復元し今まで通り営業しております。
さて、今回は初回ですので、この『ちょお〜ど・いい◎ 通信』の役割と目指すことを書きました。あわせてミニコーナー《〈つつみ〉の 包んだ話 No.1》をお届けします。
時どき「今どうですか〜」
『ちょお〜ど・いい◎ 通信』は、私たちの「服を着る」という営みに焦点をあてた、暮らしを“ちょうどよく”していくための 思索の場……思いえがき、変わっていく場です。
登録のお礼メールでもお伝えしましたが、私たちが暮らすうえで着ることが必要不可欠である以上、自分の着るものや着ることをどのくらい納得しているか、どのくらい満足しているかが幸福度を大きく左右します。
〈ちょうどよく着る〉って難しいのですけれど、やっぱり狙っていきたい。
そして、〈ちょうどいい 着る暮らし〉は季節や生活の変化、新しい学びに伴って刻々と動いていくものです。
一生に一度決断して終わるのではなくて、日々心がけて「深めて」いくものだと思います。
しかし私自身、いつも心がけたいなと思いながらもつい流してしまうというか、現状でやり過ごしてしまう時があります。
自分にとって快適な〈ちょうどいい〉を色々探し求めることを、ともすると自分独り満足したいがための我がままだと思って、我慢したり、身の丈以上の贅沢ではないかと思って、あきらめたりと、とにかく抑えてしまうことがあるようです。
皆さんにも、覚えはないでしょうか?
でもそれはとても惜しいことです。
あなたが誰であるか、分からなくなってしまいます。
色々な人と、様々な事をして暮らす中でやむを得ず何度かは妥協したとしても、その後にまた探求する気持ちを思い出し、あたたかい気持ちで、前へ歩いて行きたい。
それで、ハッと思い出すきっかけとして時どき「今どうですか〜」とお声をかけようと思うのです。
自分にとってあるいは自分たちにとって、途切れ途切れでも、少しずつでも「ちょうどいいのはどんな風か」を具体的に考え、ワクワクしながら形作り、そしていつも更新していくために、この通信を使ってもらえたらと思います。
あなたの「ん?」は宝物
読者の皆さん(配信登録をしてくださった方、しおりから訪問してくださった方)は、それぞれに今まで何かしら、「着る」について思いをはせて来られた方だと思います。
小さい頃からあるいは大人になってから、着ているものに「ん?」となったり、洋服売り場で「ん?」となったり。
着ているときの不快感や違和感、明らかに身体に不調をきたす経験もされているかもしれません。
また、思いがけず「ん?」と好みのものに出会い、運良くゲットできたこともあるかもしれません。
私は、その 皆さんそれぞれの「ん?」が何よりも大事だと思っています。
気付いたこと、気持ちが何に引っかかったかは〈ちょうどいい〉を創造するスタートになるのではないか、そこから思いを深め、探求していくと〈ちょうどいい〉の姿が自分の姿として見えてくるのではないか、と思うのです。
「着る」を「生きる」として
どんな素材の、どんな形の服を着るのか。
服が作られて消費される過程を思って、使う…。
「皆んなと同じ格好で」いいか、否か。
この通信では、着るもの(衣服)と着ること(衣生活)を題材として扱っていきます。
仕立屋として人様の着るものに携わり、また自分の着るものも作ってきた私・坂口は、そうしたいと願った覚えはないのですが身体的に切迫した事情もあって、全生命力というか己れの存在をかけて「服を着る」という営みについて考え、〈ちょうどいい〉を創造してきました。
なので、題材としては暮らしの一部分である「着る」であっても、意味は「生きる」に相当しています。
私にとって、「着る」は「生きる」です。
意図的に字を当てるなら、「衣着る」になるでしょうか。
大げさに受け取ってもらうのも困ってしまいますが、所信表明としたい初回なのでこれは書いておかなくてはいけません。
他とは関連が無くて衣生活だけでの話というよりは(そんなのきっとありませんけど)、生活全般を凝縮したようなつもりで、着るものと着ることについてを書いていきたいと思います。
これから
たてやHPの指針やプロフィールでも触れているのでご存知のことと思いますが、私が〈ちょうどいい 着る暮らし〉の目星としてきたのが、和服です。
日本の風土の中で作られてきた和服は、今でも私たちの着る暮らしに安らぎをもたらしてくれると思います。
その和服に近付くために学んだ手わざが裁縫[服を形作る]技術であり、私の創造の舞台とも言えます。
このホームベースからの日々の考察を中心に、たてやの商品や仕立についての話や、「縫う暮らし」を身近にする裁縫手ほどき、書籍の紹介、時事問題の考察などを織りまぜ、読み切りや連載を2つ3つずつでお届けを予定しています。
また、皆さんからのご質問やリクエストにも通信内でお応えするというチャレンジもしていきたいと思っています。
感想も送っていただけると嬉しいですし、まさしく「ん?」となった事などを送ってください。
メッセージフォームは末尾にあります。
また、この通信はメディというニュースレター配信ツールを使ってお届けしていて、記事に対してサポートチップ(寄付)が行える仕組みがあります。
『ちょお〜ど・いい◎ 通信』も今回は準備が間に合いませんでしたが、次回から開始の予定ですのでお心のある方はご用意ください(笑)。
私自身、経営の勉強に何人かの無料配信メルマガを読んでいて、出来るなら何回かに1度でもメルマガに対してお礼・サポートをしたいのだけどな〜と思っていた時にこのツールを見つけ、採用した次第です。
では、どうぞ『ちょお〜ど・いい◎ 通信』を楽しんでくださいね。
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〈つつみ〉の 包んだ話 No.1 足袋の履き方
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たかが足袋、されど足袋。手縫い足袋〈つつみ〉に包んだ技術と物語のコーナー。
連載の予定です。
今回は足袋の履き方をご紹介します。
履いてみましょう
着物(和服)を着るとき、私たちは着物を胴体に合わせてまとい、腰でしめるヒモを、手でそのつど具合を決めて着付けていきますよね。
習っていないから、着方はよく分からないわ…と考えなくてもいいですよ。
自分で着られなくても、和服は簡単にいうと体に合わせてまとい、腰で固定するという着方なのは、きっと皆さんイメージできるのではないでしょうか。
体に合わせて着るものなのだということを知っていてはじめて、きちんと着られるのが和服の形式であり、すぽっとはめれば済む靴下やニット類、ボタンやファスナーでとじてしまえば完了の洋服とは少し趣きの違うところです。
その和服の服装=和装に欠かせない小物のひとつが、足袋です。
慣れている方はおさらいのつもりで、自分から履いたことがない方は新世界を覗くようなつもりで、読んでみてくださいね。
では本題、足袋のはき方です。
①まず、足を用意します。具合はよろしいですか?(この①に突っ込みたい方はメッセージください笑)
※写真では〈つつみ〉展示用の足を使用
②足袋は袋状なのを半分ほど折り返すと指先がきちんと入り、おさまりよく履けます。
〈つつみ〉に関しては全体が柔かくできているため、折り返さなくても割とスッと足が入ります。
靴下代わりのカラー〈つつみ〉は特に、そのまま履いても大丈夫です。
逆に、キチっと正礼装するときなどは着物を着る前に、丁寧に半折りした白足袋を指先から順に履いてゆく…のがおすすめ。
③指先から履いて、かかと、足首、と包みます。
④内くるぶし側に付いているコハゼ(爪型の留め金具)を留めます。
下から順番にかけ糸に掛けていきましょう。
かけ糸が2列あるのは多少の調節ができるようにしてあるためで、内外のどちらかに掛ければ大丈夫です。
むくんだり正座した時などに足首がきつい時は外側に掛けるか、一番上を外すと楽になります。
⑤はい、足袋が履けました。
ひと手間の 時間
着物と同じ様に、足袋を履くのも少々手を使います。
ひとつひとつコハゼを掛けていくあたりが手間というか、時には面倒くさいと思ってしまうところです。
ですが、私が日頃使っていて思うのは、この時間、ひと手間かけて履いている時間がふと、あせって仕度をしていた息を落ち着かせてくれる“一瞬休める”ありがたいタイミングだ…ということです。
上記②の正装時には、気持ちが改まります。
そして、着物よりは立体的に足の形に合わせて作られている足袋だけれども、やっぱり手で体を包み、締めても大丈夫なポイント(=腰。足の中では足首)で固定するという着方で着ていくものなのだなと感じます。
当たり前のことかもしれませんが、足袋も和服なのですね。
* * *
〈つつみ〉は市販の足袋よりコハゼの間隔が少し広めで、多少の不器用さんでも扱いやすいように設計しています。
履いている時に抜けたり不安定にならない程度を守り、22.0〜24.5cmと25.0cm〜の2段階の規格で制作。
丈が長めでもコハゼの枚数は4枚ずつと少なく、いつも使える履きやすいデザインです。
以上 《〈つつみ〉の 包んだ話 No.1 足袋の履き方》 でした。
ー 編集後記 ー
〈つつみ〉の 包んだ話 No.1 について
着物よりも安く、気軽に使える手縫いの日用品を作りたくて、起業からずっと試行錯誤してきて足袋にたどり着きました。
ご好評を頂いて私もやり甲斐を持って制作していますが、あっさり言ってしまうと、手で縫える日用品ならカタチは足袋でなくてもいいと思っているところがあります。
「足袋って和服っぽいし、商品としてメリットが多いからいいね!」という程度でしか見ていませんでした。
ですが今回このNo.1を書いてみて、「やっぱり、足袋もしっかり和服なんだな…!」と可笑しくなってしまいました。
和服の「着方」と「カタチ」が妙に好きで、ならなくてもいいのに和裁士になってしまった私は、やっぱり小さな商品でも和服を作ることに決めてしまったのか、はからずも、、と。
この様に、制作する私にとってこの通信は深い学びの場にもなります。
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SNSで掴めなかった、情報発信の手立てをようやくニュースレター『ちょお〜ど・いい◎ 通信』に定めることが出来ました。
初回配信前の登録人数も目標を達成し、地震で多少混乱もあったものの、こうして始めることが出来て嬉しい気持ちでいっぱいです。
ありがとうございます。
いち技術者として、いち生活者として面白く生きていけるような気がしています。
ではまた、お目にかかります。
次回は2月28日(水)配信の予定です。
次回もどうぞお楽しみに!
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ふく拵え たてや
主宰・和裁士/坂口 彩香
石川県能美市寺井町
メール:tateya.wfk@gmail.com
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